子育てという、自分とかけ離れた人の気持ちほど理解するのは難しいんだけど

それでも「わかろうとすること」は大切だし、そのために「わかってもらいたいと伝え続けること」も同じくらい大切であり必要なことだと思う。
最近の風潮として当事者が非当事者側に理解することを求め、そうしないことが悪だ、みたいなのが見えると悲しい。それが当事者の孤立を招いてるなんてことになったら余計にだ。


私は一人っ子でしたので小さい子供のめんどうをみたという経験がほとんどなく、また自分の子供を持ったこともないので「育児をする人の気持ち」というのはほぼ他人事の、未知の領域なんですよね。
今は子育てエッセイやマンガがそれこそ山のようにありまして、いくらか目を通したこともあるのですが「ものすごく大変そうだなぁ」っていう感じでやっぱり他人事何ですよね。なんなら「そんなに大変な目にあっている人がいるのに自分は何にもしてなくてスイマセン」みたいな気持ちにさせられることも。あんまり受け取り方が強すぎると「大変そうだから嫌だな」なんて思いにとらわれることもあります。
当事者があまりに被害者意識をつよく出しすぎると逆に周りが離れてしまう、なんてことも起きがちなんですよね。そこは中身がどうこうというより単に伝え方、受け取り方のコミュニケーションの問題だったりするんですけどね。


で、今回はそんな子育てに当事者意識を持てない人に紹介したいマンガ『元女神のブログ』(既刊1巻)なんですけど。

 

f:id:renairenmu:20180912233712j:image

 


内容は2話ごとのオムニバス形式で、「元女神」「元ヴァンパイア」「元人魚」のお母さんの子育て奮戦記となっています。元女神ってのはあれね、泉に斧を落として「あなたが落としたのはこの金の斧ですか、銀の斧ですか」ってやつの泉の女神ね。人間に戻った後も泉に家族で里帰りしたりしてます。
そういったファンタジー世界の住人たちが普通に存在する現代社会で、至って現実的な子育ての大変さを描いた作品です。

ふつうの子育てマンガでは現実の中で出会う現実の重み(子育てにまつわる大変さ)が描かれているのですが、これはフィクションの中で描かれた現実の重みなので、私のように子育てをフィクションでしかとらえられない者には「現実の重み」がわかりやすいんですよね。

 

f:id:renairenmu:20180912233803j:image

 

f:id:renairenmu:20180912233854j:image

 

f:id:renairenmu:20180912233907j:image


「泉の女神というものすごく狭い世界ですごしていた自分と今の普通のママとしている自分のギャップ」とか。「子供に授血(授乳のように子供に血を吸わせる)させるために出かける時も血を採る道具や場所に気を使わないといけない」とか。「圧倒的に美貌があって承認欲求が満たされる人魚をやめて人間になる」とか。
今までの自分のアイデンティティが普通のお母さんになることで総崩れになってしまう、そういった苦悩と、それでも子を持つことの喜び、みたいなものが可笑しみと悲哀を交えてとってもすなおに描かれているんですよね。
そもそも3人とも不老不死や長期の若さという人類憧れの特性を捨ててまで子育てをすることを選んでいるんです。そこまでの価値を子を持つ事に見出しているんです。そうなると子育て、子供に対するプレッシャーって余計に相当だと思うんです。


あの時の自分の選択は間違っていなかったのか、これから良きママでいられるのか…
もちろんそういったフィクショナルな存在ではなくても普通のママさんも同様に悩んでいるってのはわかります。
あ、私もちょくちょく相談で「自分はこの子の親として不適格で、いらない存在なのではないか」ということを受けます。もちろんそれだけ頑張っているからこその悩みであり、むしろ完璧であろうとするほどにそういうお気持ちにまでなってしまうので、そこまでの状態に追い込んでしまう状況、環境にこそ問題があると思うのですが。でもなかなかそういう悩みって旦那さんや家族、友達に言えないんですよね。「子供と自分だけの世界」になっちゃうと閉じ込められてしまう。周りが気づいてあげないといけない、認めてあげないといけないのにです。
この巻ではママさんたちが主役でパパさんがほとんど出てこないんだけど、パパはパパなりに手助けをしているんですよね。でもちょっと、見ている視点がズレているというか、もっとママさんのことも見てあげて欲しいな、と思うんです。

 

こういったマンガなりなんなりでそういった見方を示すというのも当事者しかできないことなんです。
言わなくてもわかってあげられるのが理想なんでしょうが、なかなかわかってもらえないし、そもそも言ったところで通じないことも多々ありますので、そう言った声をあげていかないと社会って変わらないんですよね。
個人対個人は非常に疲れますので、できれば社会がそれを後押ししてくれるのが理想ではないでしょうか。
ようはママさんパパさんだけの問題ではなく、私のような非当事者含めたみんなで支え合う、ということです。


このマンガは子育ての可笑しさと喜び、つらさ、そういったもの全部ひっくるめて大丈夫だよ!といってくれる懐の深さがあります。
興味のあるかたはどうぞご覧になってください。
続きが出るのが待ち遠しい…。