彼女とメンタルクリニックに行ってきた話

「このままだと本当に死んでしまう。今日はホントにヤバかった」
 
最近かなり調子が悪そうではたから見てもかなりキテるなと思っていた。そしたら先日本人が「今度いっしょに病院行ってくれる?」と聞いてきたので(いよいよヤバそうだな)と思い付き添うことにした。
 
最近の彼女はコレだ!と期待していた面接にも落ちた焦りと長らくの自己肯定感なしの状態、自分なんか生きていても仕方ないという思いにとらわれ続け、生きていても意味がない、しょうがないという思いにずっと囚われていてた。
新しいメンクリの薬も合わないようで、先生に対しても信頼を築けていないようだった。薬もあわずなかなか寝付けない、眠れない、起きているときはいつも不安や焦燥感でいっぱいになっている。
(こりゃいっしょに出向いていって先生に「マジでヤバイんすよアピール」して伝えとかないとな)と思ったのも付いて行く要因の一つだった。
 
夕方になってもいっこうに暑さが減る気配がないなか、口数少なに歩く二人。彼女はもう病院に行くということだけでテンパってるからなにもしゃべらない。
割と近場の、町によくあるこじんまりとしたクリニックだった。で、入ったはいいが彼女が財布丸ごと忘れてしまい、保険証もなく診察は出来ないと言われてしまった。「もうダメだ」と語る彼女に「もっかい来ればいいじゃん」ということで再度一時間後の予約をとってまた黙々と歩く。こういうとき、昔の自分なら確実に怒っていたし不満を口に出さないにせよイライラの雰囲気を出していたと思うが、今はもう「しゃーない、しゃーない」と起きてしまった出来事に感情をぶつけずやることだけに専念する。二度目の予約時間より少し早く着けたのでコンビニでご所望のアイスと焼き鳥を買う。メンクリの横の道端でしゃがんで食うアイスは最高である。
 
で、ようやく中に入って、それはもうピカピカした清浄で静謐な空間でしばし待つ。
昔行ったことがあった病院とは雲泥の差だ。
 
 
もう十年以上前のことになるが、結婚した奥さんが統合失調症気味になったのでこりゃどうにもならん、ということで彼女のお父さんと、彼女と自分とで総合病院の中の精神科に行ったことがあった
ザワザワとした猥雑な空間で待たされ、やっと診察が始まったと思ったら彼女はろくに現状を話さず先生も全然ノッてこず、心配しているこちらとしたら「幻聴幻覚もあるし被害妄想も暴力もあるし、今すぐなんとかしてくれよ!」という怒りと不満で爆発寸前だった。
この時のことが全て終わった後、ようやく悟ったのだ。精神科の医者は診断して薬を出すだけであり、長時間話を聞いて心の安寧を与える存在ではないことに。
 
 
そういうことがあったので、ここでも先生が手短かに話を聞いて、どうにか彼女の希望の薬を少しだけ出してくれただけでもありがたいな、と思っていた。もちろんいろんな先生がいるから、合わないと思ったら別の所に行け、と皆さんには言っておく。
何度かこちらにも話を振ってくれて、話ができただけでもよかった。
 
「自分でも焦ってしまっていたと思う、その気持ちが彼女の不安にもつながってしまったと思う。でもその気持ちをガマンしていたら自分もつぶれてしまう。自分も強い方ではないので」
彼女には少し話していたのだが、こうして第三者に言えたのは良かった。先生も「それは大変でしたね」というありがちな言葉ではあるがその一言をかけてくれただけで、自分の中ではかなり荷がおりたような気がした。自分でもだいぶしんどかったんだと思う。
今回のこの訪問が終わって、自分でもようやく「覚悟」のようなものがついたと思う。
 
薬で気持ちも落ち着いたみたいだし、ということは薬がなくなっただけでポロっと死んでしまう状態でもある。そんな中でも生きる覚悟を、まだまだどうなるかわからないこれからの日々を過ごしていく覚悟を、持って生きる。そう思えたらすごく楽になった。