「生きづらさ研究会」主催ぎりさんのブログ

8/22(水)8/25(土)第5回、第6回生きづらさ研究会「メンヘラから読み解く私たちの生きづらさ」開催します

知ってほしい、若者の生きづらさとSNSの関係

先日『東京司法書士会主催 自死問題シンポジウム』に行ってまいりました。「つながりをもてずに孤立してしまう若者」をテーマに専門家三名を招いての会です。
自殺者の総数が減り続ける中、若年層だけがなかなか減らないという現実を受け政府はこの3月を自殺対策強化月間としてSNS(主にLINE)による相談事業をはじめました。
 
SNS相談を行う団体(13団体、厚生労働省
 
 
 
一人目は以前も講演を拝見させていただいたことのあるBONDプロジェクト代表の橘ジュン氏。
前の講演では主にBONDプロジェクトの現場活動のお話をお聞きしました。実際に渋谷などに行き助けが必要そうな女の子に声をかける、保護する、そのあとの支援に繋げるといったものです。今回は強化月間が始まったばかりということもありメールやSNSでのやりとりの実態のお話が多くありました。
ツイッターハッシュタグで「パパ活」「サポ募集」「さみしい」「家出」などの言葉で検索して、助けを求めている子に返信していく。助けを求められるのを待つんじゃなくて自分たちから積極的に声掛けをする。その姿勢がスゴいなと感じました。
援交している子になんでするの? と聞くと「化粧品や遊ぶ金がほしいから」と答える。「なんだ、だったら自業自得だし本人たちが好きでやってることじゃん」って一般的にそこで思考停止になりがちですが、その奥にある本心とそこに至る物語を見ることが必要なんですよね。そもそも彼女たちはもうおおいに人間不信、大人不信でさらに身近な人に迷惑をかけたくないという思いでだれにも相談できずに事に至ってしまうんです(だから身近な人ほど気づけない)。傷つかないふりをして、もう充分傷ついている。それに気づいてあげる、まずは心のケアをしてあげる。そこをやらないといくら専門機関につなげても合わなくてすぐ戻ってきちゃうんですよね。
若者の問題に限らずしんどさに立ち向かう時、本人だけの力でなんとかしようとするのは難しくやはり周りの人達や制度のサポートがあってようやく乗り越えられるものなんです。そもそもどうやってその助力を請うのかすらわからない状態でここまで来ているので「当人の問題」「周りに助けてもらえばいいじゃん」と丸投げにせず、しっかりと気づいてあげる、声をかける、そこからようやく支援につながっていくんです。
そのために“相手の気持ちに気づく”のが大事なんだな、と改めて感じました。
 
 
二人目はノンフィクション作家の渋井哲也氏で、震災などに加え若者の生きづらさなども取材されている方です。昨年の座間市9遺体事件の取材もされていて非常に生々しい話をうかがうことができました。
特に氏が自殺サイトやSNSでとった、座間市の事件に関するアンケートの結果がいろいろと考えさせらるものでした。
座間事件の反応において一番多かった意見が「共感した、羨ましい」で次に「自分も死にたかった」だそうです。
ネットにある「自殺サイト」というものにアクセスした結果どういう気持ちになったか?のアンケートでは上位から順に「共感した」「死にたくなった」「安心した」とあります。以下生きたくなった気持ちと死にたくなった気持ちに関連した解答が半々くらいでした。「居場所になった」「助けたくなった」という意見もあるのを見るに、無下にこういうサイトは即閉鎖、とは言えないんですよね。
多くの若者にはこういったはけ口を求める「第4空間」というものの存在が居場所たりえています。学校、地域、家庭の3つ以外の、インターネットや匿名でいられる街の存在がそれに当たります。
 
その他のアンケートでは「死にたいほどの相談する人がいない」。いる場合は「友達」が1位(リアル、ネット共)。逆に「恋人に相談」や「電話相談」の率がすごく低い。
アンケートで死にたいと答えて実際死んだ10人全員が通院歴あり(専門機関に繋いでもそれで終わりではないということ)、といった解答にはいろいろと考えさせらます。
 
三人目は臨床心理士会文科省委員、都の教育委員会などをやられている方で「私たちも現場の声をしっかり拾い上げて対策をしていきたい」と思っていることはよくわかりました。現場の人達に比べると時間感覚の違いがすごかったけどこういう方にも参加していただけることが大事ですよね。やっぱり制度が変わんないと。個人レベルで出来ることって限界があると橘さんもおしゃってましたし。
 
 
 
というわけで今回はとくに「若者」「SNS」を中心とした自死問題のお話を聞かせていただきました。
わたしが傾聴ボランティアをやっている団体は電話でお話を聞いているので、たしかに実感として若者は少ない感じがします。今の若者にとって電話ってとにかくめんどくさいツールなんですよね。だからこそ電話でしか伝わらないものも多いので、そこらへんを伝えられるのも自分たちの強みかな、と思いました。
SNSがこういったことに親和性が高いのも「コメントしやすい」「返事がしやすい」っていう利点があるからなんですよね。だからこそ余計に返信がないと寂しさを味わうんです。「ネット上で死にたいという言葉を見た時どういった反応をするか」のアンケートで1位が「見過ごす」で2位が「ナンパする」だったそうです。死にたいというつぶやきも明るいうちは助けてくれる大人たちにつながっても、寝静まった夜はそれを狙ってナンパ師たちが動き出すそうですから。
「見過ごす」っていうのも「怖いから」って言う気持ちや「なんて声をかけていいかわからない」「考えている内に時間がたってしまう」ということで必ずしも無関心の意味だけでスルーされているわけではないんですが、つながりやすいからこその無視された時の落ち込みがデカイんでしょうね。
 
いろいろとつながるためのツールは増えましたがそのつながりの「深さ」はわたしたち一人一人の向き合い方が大事なんですよね。